「いいから黙って読め!」

kojak variety

『Kojak Variety/Elvis Costello』(wpcr-258)
●Elvis Costello(vo)James Burton(g)Marc Ribot(g,bj,E♭-horn)Jerry Scelf(b)Jim Keltner(ds)Pete Thomas(ds)Larry Knechtel(org,p,ep)Apr,1990▼①Strange②Hdden Chams③Remove This Duet④I Threw It All Away⑤Leave My Kitten Alone⑥Everybody'sCrying Mercy⑦I've Been Wrong Before⑧Bama Lama Bama Loo⑨Must You Throw Dirt In My Face⑩Pouring Water On A Drowing Man⑪The Very Thought Of You⑫Payday⑬Please Stay⑭Running Out Of Fools⑮Days

「優良啓蒙橋渡し」

 有名だけど知らない人のために言っておくと、コステロっていうのは、77年かな。それくらいの年にデビューしたオッサン歌手。「ヘンなエルヴィス」がその通り名。バート・バカラック、ビル・フリゼール、ドーナル・ラニーなどと共演したり、なんだかんだで大抵のグッド・ミュージックに顔と名前が出てくる人だ。 日本では、一時期のミスターチルドレンが、「パンプ・イット・アップ」そのまんまのプロモーションビデオを作っていたり、石田純一が、ものまね歌合戦に出るときに、「She」 を歌いまくっていたりするので、知っている方も多いと思う。ちなみに石田純一のモノマネは一切モノマネになってない。そこまで歌がヘタなのに、よくコステ ロが歌えるなあ。それでも、おそらく、カラオケの十八番なんだろう。まったくの話、本当に考えたくはないのだが、この曲を歌われてオチた女優も、この世界 には存在するということだ。気分の悪い話をして申し訳ない。

しか し、これだけ音楽愛があるとともに、親しみやすくもある、優良カバーアルバムも少ないだろう。このアルバム、いわゆるパワーポップ・ロックな感じのコステ ロが好きな層に対する、ちょっとした啓蒙になっている。オリジナルを聴きに行くための橋渡しアルバムだと思う。だからこそ、敷居は低くしており、知らなく ても楽しめるようになっている。そうでなければ、ここで演奏されてるジェシ・ウェインチェスターのファーストなんて誰も買わないだろう? (別段マニアックなものでもなく、ロックの教科書にはどこにでも載っている、超有名アルバムだが、たいていのバンドマンは、ザ・バンドやリトル・フィートなど聴きやしないだろう) そうやって橋を渡って、いろんな「店」を渡り歩き、最後に元いたところに戻ってきたときには、マーク・リボーやラリー・ネクテルの素晴らしい演奏が、さらに素晴らしく聞こえるようになっているはずだ。

コステロ自身による音楽愛に溢れた素晴らしいライナーにはこう書かれている。「ジェシ・ウェインチェスターのファースは見つけたらすぐ買え!」ぼくも買ってみた。なるほど、コステロの言う通りオリジナルの方がいいわ。(御汁粉)